『ワークスルー』とは。
英語のワークスルー(work through)は、
・やり遂げる
・困難を乗り越える
といった意味です。
心理学で『ワークスルー』と言う時には
「ワーク」は心の働き、
「スルー」は通る
と考えてみましょう。それを踏まえて、
『ワークスルー』とは
心の働きをやり通すことを意味します。
今回のブログでは
『ワークスルー』という考え方に触れてみましょう。
行動に移すことで見落とされるワークスルー
なにかの失敗をしたとしましょう。
その際、
「挽回しなきゃ」や
「もう失敗しないようにしなきゃ」
といった判断をして、
すぐに失敗をおぎなう行動に移すとします。
それはそれで悪いことではありません。
「失敗をごまかそう」や
「逆ギレして乗り切ろう」とするのは
良いこととは言えませんけど、
でも人の心にはそういった判断をする場合もあるでしょう。
いずれにしても、そこで
心の働きがすっ飛ばされてしまいます。
つまり、
心の働きをやり通せていない
『ワークスルー』の失敗が起きるのです。
それも本人にも自覚なく、心の中でひそかに起きます。
いったい、どういうことでしょうか?
感性・感受性・感情の体験
失敗とともに、実は心には
例えばこんな感覚や感情が湧いていたりします。
焦り
落胆
恥ずかしさ
みじめさ
悔しさ
残念や後悔
怖さや怖れ
自責感
罪悪感
などなど…
パッと見で分かると思いますが、
これらの感覚や感情は
心にとっては『不快』をともなうものです。
これらをすっ飛ばして行動に移すと、
『不快』を味わわずに済みます。
しかし、どうなるでしょうか?
心には、
これらの感覚や感情を半ば自動的に
避ける・すっ飛ばすパターンが作られてしまうのです。
また、それとともに時には
これらの感覚や感情を味わうのは
いけないことだとインプットされてしまいます。
ワークスルーのできていない心理状態
たしかに
『不快』の感覚にのまれてしまえば
心のコンディションは低下するので、
それはそれで
おちいりすぎないように気をつけたいところです。
感覚や感情に深くひたっていればいいというわけではありません。
一方で、
『不快』を避けて、
それにまつわる感覚や感情を味わわないように
心の中で目を背けながら生きていくのも、
心のバランスを崩したり
人間関係を保てなくする
といった問題に繋がることがあります。
失敗をしたら本当は心はそれなりにへこんでるはずなのに、
そうと自覚できなかったり、
失敗を認めなかったり、
人間関係でも変に強がる・攻撃的になるといった
おかしな心理状態におちいってしまうのです。
自分の心で体験を味わいながら生きていくためには、
『不快』にのまれずに(のまれすぎず・のまれたままにせず)、
心に生じていることは生じているのだから、
感性・感受性や感情の体験をすっ飛ばさずにやり通す、
そんな『ワークスルー』が望ましいと考えられます。
ワークスルーに取り組む前提条件
心のコンディションが低下しているときには
『不快』にのまれやすいので、
感覚や感情の『ワークスルー』どころではありません。
本来備わっているその人らしい感性・感受性を大事にしようにも
その余裕すら無くなってしまうからです。
まずは心のコンディションをある程度まで整えることが
順序として先です。
また、そういった段取りを含めた全体を『ワークスルー』と考えてもいいでしょう。
さいごに
今回のブログでは
なにかしらの失敗と『不快』の体験を例に解説しましたが、
他にも様々な形での
『ワークスルー』および『ワークスルー』の未達成が
心の中には起こり得ます。
心の感性・感受性・感情に触れるように
自分なりの『ワークスルー』に取り組むことで、
すっ飛ばしがちな『不快』を味わってから自力で抜け出せる
そんな心にバージョンアップをして
生きやすくしていきましょう。
心理カウンセラーとの対話によって
『ワークスルー』に取り組むことも可能です。
※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは
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