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言葉は表現の発明

扉絵

人は、言葉を使って何かの事柄を表現します。

 

ここでは

・心理にまつわる言葉について、

・心理学での言葉について、

そして

・心理カウンセリングでの言葉について

お話をしていきます。

新しい言葉

いつの時代も新しい言葉が現れて

そのいくつかは世間に定着します。

中には、心に関係するものもあります。

 

昔は無かった言葉、

例をいくつか挙げてみましょう。

 

「逆ギレ」

なんらかの状況で叱られる立場にあるはずの人が

逆に、怒るという現象です。

そういった現象そのものは昔からあったはずですが、

以前は、どう表現していたのでしょうか。

 

「黒歴史(くろれきし)」

かつてなんらかの趣味や嗜好(しこう)に傾倒していたなどの事実に

今となっては忘れたいや隠したいという思いがある時、

その過去を黒歴史と言います。

とあるアニメで「知られざる歴史」を指す言葉でしたが、

今は冗談めかして「隠したい過去」の意味で使われます。

 

「毒親(どくおや)」

身勝手で子どもの心を傷つけ続ける親のことです。

テレビのコメンテーターが「親っていうのはみんな子どもを想って…」と

美談を一般化して語っても、

この言葉を使えば「そうじゃない親もいる」と返せるでしょう。

 

「モラハラ」

強い立場を利用して、倫理(モラル)に反するような

相手が苦痛に感じる関わり(ハラスメント)をすることです。

 

「ツンデレ」

本当は相手に好意(デレ)を持っているのに、

それを認めると恥ずかしい感覚が湧いて動揺してしまうため、

時には思わず顔を赤らめながらも

あえて冷たい態度(ツン)をとる行為や心理です。

 

「スルースキル」

主にネットを利用していて、不快に感じる事柄を見聞きした時に、

あえて反応せずに受け流す技術や能力のことです。

 

どの言葉も、ひと言でうまく言い得ていると思います。

言葉は表現の発明と言えるでしょう。

他にもいっぱいあるのではないでしょうか?

誤用の問題

便利な言葉が登場するのは良いことですが、

意味を間違って使ってしまうことがあります。

 

心に関する言葉は特に、

目に見えないものだけに、誤用されがちです。

 

かく言う私を含めて心理学の専門家(臨床心理士)であっても

専門分野の用語をうっかり間違って使ってしまうことがあります。

 

「その言葉は、こういう意味合いもあったのか」、

「この用語に、あの現象は含まれなかったのか」、

「同じ言葉なのに、意味を使い分ける必要があるなんて」、

そんな風に気づいて慌てることになります。

定義に立ち返る

定義(ていぎ)というのは、

その事柄をできるだけ短く正確に言い表した一文です。

 

知らない言葉が出てきたら、

自分のイメージで独自に解釈をしないで、

まずは

定義を知ることが有効です。

 

知らない言葉を辞書で調べるようなもので、

どこかに載っています。

 

それによって、使い間違いをある程度は防げるでしょう。

インターネット情報のあやうさ

これは心理学に限らないと思います。

インターネットの情報は間違いの多さが指摘できます。

 

インターネットには、

その分野に足を踏み入れたばかりの大学生や

個人的な体験に用語を当てはめて解説しようとする人

書き込みがち。

内容は主観的で誇張して書かれがち。

私にそうした行為を批判することはできません。

ですが、

心理学の用語については参考にならない場合が多い

という印象をここに記しておきます。

 

では、本なら大丈夫か?と言えば、

本でさえ正しい情報を得るのは難しいのです。

なぜなら先ほど書いた通り、

心理学には、学者さえもつい間違うような

言葉の用法の難しさがあるからです。

 

では、どこに注意すればいいのか、ヒントをひとつ。

 

本を手に取った時、

扱う用語に関して定義の一文をしっかりと記しているかどうか

そこを必ず確認してください。

新しいテーマが始まる際に、

そこで使う言葉が

誤解無く読み手と共有されるよう

気を配っている本なのかどうかをチェックするのです。

 

曖昧な言葉や専門用語に関して、

定義を明確にしつつ進む本は、それなりに信頼できます。

言葉と心理カウンセリング

これまでは、

「言葉は誤用しないように、正しく使うことが重要」という面を

書いてきました。

 

ですが最後に、まったく反対のことを書きます。

 

言葉で表現するのは、伝えるためだと言っても構わないでしょう。

 

言葉の目的は、伝えること、伝わること。

最終的に伝わりさえすれば、

言葉の使い方を間違ったか間違わなかったかは

実は問題ではないのです。

 

目の前の人に

伝えたいことがそれとして伝わるのなら、

途中で言葉の使い方を間違っても問題ありません。

  

心理カウンセリングの場では、

上手に話す必要はありません。

上手かどうかのハードルなんてものはありません。

ただ、その人の言葉で、その人のペースに合った

無理の無い進み方があるだけです。

ご自身の事情やお気持ちを「表現できている」と実感が得られるまで、

あきらめることなく言葉を重ねていただければと思っています。

それぞれのペースを大切にするのがカウンセリングです。

 

ご自身でしっくりくる言葉の表現を、

カウンセラーと一緒に探しましょう。

※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは

 川越こころサポート室が提供するものを想定しております。

 他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。    

鹿野 豪

川越こころサポート室のロゴ

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