今回は、
何気無く使っている言葉が
実はこういう意味だったんだ、というシリーズ(?)です。
ベクトルについて
数学のベクトルを憶えていますか?
図の中に矢印として表されます。
矢印の先が示すのが、向き。
矢印の長さが、大きさ。
イメージしてみてください。
心理学で語られているわけではありませんが、
『感情』(参考 >>『心理ブログ』感情について)にも
ベクトルの考え方が当てはまると気づいたので、
ブログに記したいと思います。
感情の向き
数学のベクトルの場合は、
向きがふわふわと勝手に変わってはいけないはずです。
それが数学です。
でも、心の中で、
感情の向けられる相手が自ずと変わってしまうことはあります。
例えば、
本来はAに向いていた感情がBに向け変わる。
そんなことが心では起こり得るのです。
感情の大きさ
『感情』にも大きさがあります。
「強さ」と言い換えても構わないでしょう。
持続する長さや、
どの範囲まで波及するかなどについても
心理学的には重要ですが、
ここでは全てをひっくるめて「大きさ」と呼ぶことにします。
大きさについても、
心のこととなると、その時々で変わってしまう可能性があります。
感情の向きと大きさ
さて、『感情』には、次のような呼び方があります。
向きが定まっている『感情』は、
『情動(じょうどう)』とも言います。
向きが曖昧な『感情』は、
『情緒(じょうちょ)』とも言います。
これは、文学小説でも同じと私は理解しています。
私が読んできた限りにおいてですが、合致しているからです。
では、大きさに関してはどうかと言うと、
向ける相手の定まっている小さな『情動』や、
方向の定まっていない大きな『情緒』もあります。
最近では、小さな感情を「情緒」と書かれた文章もあって、
そうした用法を一概に否定することはできません。
このブログが示すのは、あくまでひとつの考え方です。
ただ、
フロイトの用語を日本語訳した『情動』の意味は、
小さくても、たいてい向ける相手が定まっているでしょう。
また、
どこに向いているのか定まっていない感情が
大きくワーッと湧くことを想像してみてください。
それが大きな『情緒』です。
「大きいから情動」や「小さいから情緒」といった表現を
超えた理解が、
数学のベクトルになぞらえることによって
得られるのではないでしょうか。
『感情』についての心理学的な理解が少し進むかも知れません。
心理カウンセリングで確認する感情のベクトル
『感情』は、心の中に湧いてきて、
その性質を味わったり、
理性を阻害してきたり、
心因性の症状を形成させることもあったりと、
様々な働きをします。
心理カウンセリングにおいては、
『感情』の方向性や大きさを検討して、
心にとって無理のこないところに調整するよう
取り組んでいくことが可能です。
※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは
川越こころサポート室が提供するものを想定しております。
他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。
鹿野 豪
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