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心理カウンセラーの価値観

扉絵

今回は、

心理カウンセラーの基本的な価値観についてお伝えします。

 

心理カウンセリングの意味を

ご理解いただく上で、

とても重要だと思います。

 

なお、このブログでは

カウンセリングにいらっしゃる方を

心理学の言い方で「クライエントさん」と呼ばせていただきます。

孤独感を減らす

心理カウンセラーが目指すのは、

クライエントさんの『孤独感』を減らしていくことです。

 

『孤独感』とはなんでしょうか?

孤独とは、

心の交流が得られない状態を指します。

または理解者がいない状態とも言えるでしょう。

『孤独感』はそこでのつらさの感情やつらい感覚です。

 

これを減らしていきたいのです。

 

心理カウンセリングでは、

クライエントさんは心の中にあることを表現して、

カウンセラーが受け取り反応を伝え返すというやり取りをします。

それをくり返し、くり返し、実感することによって、

『孤独感』を下げていくと考えられます。

 

これはただ「さみしさを減らす」というのではありません。

 

『孤独感』にさいなまれる時間や度合いが減ると、

それによって心に余裕ができ、

なんらかその人の本来持っている可能性が生まれてきます。 

 

必ずしも友だちが増えたら『孤独感』は減る、というものでもないでしょう。

 

丁寧なやりとりでこそ『孤独感』は減るのだと考えられます。

 

心理カウンセリングには様々な療法や技法がありますが、

根幹をなすのはそういった取り組み、

そういった心を活かす価値観なのです。

勝ち負けの価値観

「価値観」というのは、いろいろあるでしょうけれど、

それは「何を大事にしているのか」だと言えます。

 

少し話は変わりますが、

多くの人が、自然と「勝ち負けの価値観」というものを

見聞きしたり、体験していることでしょう。

 

スポーツは、エンターテイメント性のあるものほど

勝ち負けのスリルをともなう競技となります。

他にも、学業、仕事、試験、社会的な地位、など、

勝ち負けであったり合格・不合格といった評価をともないます。

そういった作られた価値観は、ひとの心にも影響します。

 

大きな勝負事ほど負けた時には、

相手の勝者であったり勝ちたかった自分から引き離されたような

『孤独感』を覚えがちではないでしょうか

挫折で一時的なり心を閉ざして周りと距離をとるのありえます。

それを長く引きずってしまう場合もあるでしょう。

 

さきほど心理カウンセリングの根幹をなすのは、

『孤独感』を減らしていくことだと述べました。

 

クライエントさんが勝負事に負ければ、

一緒にその悔しさを分かち合う、それが心理カウンセラーです。

たしかに勝てば一緒に喜びますが、

勝利自体がカウンセラーの関心事ではありません。

 

勝者はたたえられて栄誉を与えられるでしょう。

たしかにそうですが、

心理カウンセラーの価値観として本当に大事にしているのは、

決して「勝つのが良いことだ」というものではなく、

心を『孤独感』で傷ませないことになります。

 

人は必ず負ける時があります。

人生のいかなる場面でも常に勝ち続けられる、という人はいないのです。

その時、『孤独感』の強さで心は傷んでいく危険性があります。

 

心が傷んでいく危険性。『孤独』の危険性。

それこそ心理カウンセラーが心をサポートしていきたいところです。

 

なお、心理カウンセラーが勝負事の勝利を求めていない価値観だとしても、

それはクライエントさんの「勝利を求める価値観」と矛盾はしません。

なぜなら長い目で見て、「孤独感にさいなまれにくい心」こそが

「勝利に近い」と言えるからです。

矛盾しないどころか、相性が良いとも言えるはずです。

孤独感は誰にでも

上に述べた勝ち負けの価値観は、あくまで例のひとつです。

そもそも、性格が勝ち負けにこだわらない人もいますし、

勝ち負けに関係の無い悩みも数多くあります。

ただ、いずれの価値観をお持ちのクライエントさんとの間でも、

心理カウンセラーが

『孤独感』を減らすのを目指すことには変わりありません。

 

さて、

幸運にも周りの人に恵まれている方もいらっしゃるでしょう。

気の優しい友人や家族に恵まれて孤独になりにくいという場合です。

そこに『孤独感』は無いのでしょうか。

例えば、

なにかの事情を打ち明けられなかった時、

ひとりで抱え込んだ時、

心を通わせた相手が近くからいなくなった時、

その状態は孤独であり、そこでのつらさは『孤独感』なのです。

 

勝負事に負けた時だけではありません。

 

ひとによっては、我慢し、

それを「つらい」とさえも感じないのかも知れません。

「自分が耐えればなんとかなる」とグッとこらえるかも知れません。

 

そのように、『孤独感』は誰にでも生じ得るのです。

カウンセリングでできること

実際、聞き上手な人はたしかにいます。

話をしていて心地好く、自分のことを聞いてもらえる人がいます。

そういう人とくり返し関わっていると『孤独感』も減っていく、

このブログで述べた理屈でも、そう考えられると思います。

 

現実で、そういう人がいて、

そういう機会があるなら素晴らしいことです。

心理カウンセリングという場は、

クライエントさんとカウンセラーが

そんな体験を目指していくものです。

 

その上で、

どう心を使っているのか、心のどこに引っ掛かりがあるのか、

などの理解に基づいて

専門的なサポートを展開できればと思います。

対話などやりとりを通じて自然に取り組めれば最良です。

まとめ

今回は、心理カウンセラーの価値観、なにを大事にしているかの話でした。

それはクライエントさんの『孤独感』を減らすこと。

 

クライエントさんの思いに耳を傾け、伝え返す、

そのやりとりがカウンセリングの基本です。

 

世界には多種多様な価値観があり、

ひとそれぞれに価値観があって当然で、

なにを大事に思っているかは様々だと思います。

例えば、勝負にこだわる人もいれば、こだわらない人もいるのでした。

 

そんな中、心理カウンセラーとしては、

クライエントさんの『孤独感』が減り、心の可能性が高まること

まず第一に考えています。

鹿野 豪 (公認心理師・臨床心理士)

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