カール・ロジャース(1902-1987)
『無条件の肯定的関心』
(むじょうけんの こうていてき かんしん)
この言葉を提唱したのは、
アメリカで活動した心理学者の
カール・ロジャースです。
人間関係をより好ましくする
ヒントにもなりえるでしょう。
ここでは『無条件の肯定的関心』を
(1)無条件の(2)肯定的(3)関心という
3つに分解して順に解説していきたいと思います。
(1)無条件の
「無条件の」を理解するには、
逆の言葉をふまえると良いとロジャースは書いています。
逆は「条件付きの」です。
「条件を満たした場合に限り」とも言えます。
あらためて
「無条件の」=「条件付きではなく」なのだと言えます。
「なにかの条件を満たさなければ…」というわけではないのです。
(2)肯定的
「肯定的」についても反対語からいきましょう。
反対は「否定的」。
頭ごなしにだったり、しつこくだったり、
一方的に否定をされたらイヤな感じがしますね。
そうではなくです。
ここでの「肯定的」は「ありのまま」を指します。
英語の「ポジティブ」は
カタカナ語だと「前向き」や「積極的」以外のイメージがありますが、
元々は「ありのまま」の意味でも使われます。
『無条件の肯定的関心』における肯定的は、
取りつくろわなくて「ありのままでOK」、
ありのままを否定しない・されないというものです。
(3)関心
ここでの「関心」は、
相手のそのままを理解する気持ちを向けること。
「それって、そういうものなんだ」
「なるほど、そういうことなんだ」という感じです。
日本語訳の際、「関心」の代わりに「配慮」を使って
『無条件の肯定的配慮』と書かれることもあります。
意味は同じです。
もう少し意味を付け加えるなら
「見守る」という要素が加味されます。
無条件の∔肯定的∔関心
ロジャースは、
『無条件の肯定的関心』に基づく
人と人とのやり取りを通じて
心はより健康的になっていく
という考え方を提唱しました。
(1)なにかを満たした場合に限るとかの条件付きではなく、
(2)否定的にではなく、ありのままを尊重して
(3)「そういうことなんだ」という気持ちで接すること。
3つそれぞれに「ありのままを認める」という
ニュアンスがあります。これはとても大事。
人の心は、反対に
「頭ごなしに否定される」「痛烈に批判される」と
身構えますし、抵抗して、
関わりがなにかしらいびつになっていきかねません。
もちろん、
相手が示したことの全てが納得いくか、のめるのか、
それはまた別の話でしょう。
『無条件の肯定的関心』を
いつでも完璧に行なうというのは無理があるので、
それに近づこうと努める姿勢になります。
シンプルかつ具体的には
関わりの中に
「そうなんだ」という言葉を入れる
といったように考えてみてはいかがでしょうか。
子育ての場面を想定するとしたら、
条件付きで褒めていたのを減らしたり、
思い通りにいかない時でも否定せず
静かに「マジか…そうきたか」と呟いてみるとか、
反応の最初には「そうか~」という関心を示す、
というのも同じと言えるでしょう。
大人同士でも、これを応用して考えていきたいものです。
※最初のタイトルのイラストは、
ふたりの人が立場の違いを抜きに
相手のありのままに肯定的な関心を向けている様子です。
※カール・ロジャースのスの部分について、ロジャーズとズで書かれることもあります。
実際の発音はスとズの間ぐらい、弱めにズと発音する感じだと思います。
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