今回は
心理ブログ「感性・感受性・感情のワークスルーとは」の
続きとなります。
先にこちらをご覧ください。
見落とされた感覚・感情
前回においては、
心が『不快』や『ネガティブ感情』といった現象を
不都合なものとみなして
それらの体験をすっ飛ばしてしまう、
『ワークスルー』のできていない状態について解説しました。
焦り
落胆
恥ずかしさ
みじめさ
悔しさ
残念や後悔
怖さや怖れ
自責感
罪悪感
など…
これらの感覚や感情を半ば自動的に
避ける・すっ飛ばすパターンが作られてしまうのです。
また、それとともに時には
これらの感覚や感情を味わうのは
いけないことだとインプットされてしまいます。
すっ飛ばすことが定着した心理状態
では、
『不快』や『ネガティブ感情』をすっ飛ばした心は、
どのような状態になるのでしょうか。
(1)温和になる
『不快』や『ネガティブ感情』を
味わわないわけですから、
温和な性格になる人もいるでしょう。
この場合、人間関係のトラブルは多くないとしても、
本人の中で感情の体験をすっ飛ばしがちなため
他の誰かの感情に共感することは苦手でしょう。
(2)怒りっぽくなる
『不快』や『ネガティブ感情』をすっ飛ばすと言っても、
それらの対処・処理をすっ飛ばしているに過ぎず
心に湧いてきてしまう人が怒りっぽくなります。
消化して落ち着くまでのプロセスが抜けていて
粘着的なしつこい怒り方をする人もいます。
(3)せっかちになる
すっ飛ばすのを性格や行動に反映させて
せっかちになる人もいます。
結論や極論を好んで、
中途半端なものや途中のものが苦手だったりもします。
(4)心因性の症状を形成する
『ワークスルー』ができていない心理状態は
まるで消化しない消化器官のようなもので
いくらごまかしても消化不良の無理が生じていたりします。
その無理が、なんらかの心身の不調・不具合となって現われるのです。
(5)融通が利かなくなる
心のプロセスをすっ飛ばす理由として、
『不快』や『ネガティブ感情』を消化できない・味わいたくない
というものがありますが、自覚はできません。
自分のやり方にこだわるけれど
こだわる理由は分からず説明できないので、
ただただ融通の利かない人になります。
(6)本人なりの理屈を作って頼る
『不快』や『ネガティブ感情』を味わうのを避けるために
本人なりの理屈を作るというものがあります。
例えば、ひとからそっけない態度を取られたら
即座に絶望的な気分になるという人がいるとしましょう。
そっけない態度→絶望は、第三者から見たら発想が飛躍して見えます。
ですが、本人なりにその仕組みで心を守っているのです。
(7)怒りや憎しみを前面に出す
怒りの感情は強くて前面に出て
他を隠す性質があります。
憎しみ(特定の相手に怒りを向け続けること)を
形成することで
『不快』や『ネガティブ感情』をすっ飛ばした状態を保とうとします。
(8)その他
他にも、
『不快』や『ネガティブ感情』をすっ飛ばすと
感情体験を怖れたり、
自己正当化に必死になったり、
成果となる数字や目に見える価値の追求ばかりするようになったり、
さまざまな心理状態や様相が繰り広げられるのです。
アセスメントと見立て
上の(1)から(8)は、
『ワークスルー』ができていない心理状態が原因
とは限らず
それ以外の理由からでも生じます。
ですから、『ワークスルー』できてないからだ、と
安易に決めつけることはできません。
しかし、もしそうであるなら、
心のプロセスをすっ飛ばさずに丁寧に味わうようにして
『不快』や『ネガティブ感情』にもなじむことで
心のバランスの安定・対処能力の向上に繋がると考えられます。
決めつけずに、
その可能性があるという見方で
丁寧に紐解いていきましょう。
こうした心理状態の判別や把握は、
心理学で言う『アセスメント』に含まれます。
そして取り組みの方針や内容は『見立て』と言います。
カウンセラーと取り組むことをご希望であれば
心理カウンセリングにてご相談ください。
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