再現とは

なぜかつい同じことをしてしまう現象、

それが心に関係している場合もあります。

今回は

『再現』に関連する心理キーワードを

いくつかご紹介します。

本人が自らくりかえしてしまうことを

心理学で『再演（さいえん）』と言うのをたまに見かけます。

一般に使われる

好評だった演劇が再び上演される再演と

言葉は同じで、意味が違っています。

また、

「状況や行動を意図的に再現してみる」

という別の意味でも再演を使うこともあるのが

ちょっとややこしいところです。

なぜかついくり返してしまうという意味の『再演』については

シンプルに『再現』と言い換えてもほぼ大丈夫です。

別に『再現』をしたいわけではない、

しようとしているわけでもない、

なのになんらかの行動や人間関係などを

くりかえし『再現』してしまうのは

なぜでしょう。

心の中の、自分でも無自覚なところに

なにかがあるからという場合があります。

ひとの心には自分でも触れられていない何かがある…、

出来事の記憶や、感情の感じ方や、その人なりの思いがあったのを

心の中で自分でも分からなくなるよう

覆い隠してしまっているところ…

それを『無意識の領域』といいます。

自分でもどうして『再現』するのか分からない理由が

心の中の隠された『無意識』によるのかも知れません。

人間に限らず多くの動物は、

経験から、

思考の流れや行動の手順などの『パターン』を

身に着けていきます。

最初は慎重におそるおそるな不慣れなことも、

慣れてしまうと考えめぐらせなくてもできてしまいますね。

「省略する」と言ってもいいでしょう。

認知や行動における

その人なりの『パターン』（そこでの省略）が

『再現』に関わっている場合があります。

これも『無意識』と同様、

なぜかくり返すことに結びつきます。

 『パターン』の原点に

『成功体験』が存在する場合もあるでしょう。

なにをもって「これはうまくいった」と思うか、

『成功体験』の意味を掘り下げると様々です。

心が満たされる『欲求の充足』という意味なのか、

脅威や恐怖が減ったという『危機回避』という意味なのか、

その他の意味があるのか…。

そんな『成功体験』の意味に注目してみましょう。

『パターン』が形成された意味、背景、程度の理解を進めると

心理的な『再現』の把握に繋がります。

心の機能のひとつに『反転性』というものがあります。

たとえば、

被害者が立場を反転して加害者になって…。

たとえば、

ひとから受けたありがたみの経験から、

立場を反転して

今度はひとに与える側になって…。

こんな感じで、立場を入れ替えて

相手の側に成り代わって

状況や心理が『再現』されることもあるのです。

『反転性』のある『再現』と言います。

ひとからひとへと移って。

『連鎖』的に『再現』されることがあります。

もともと個人というよりは、

一族で、会社で、部活などで…

そこに巻き込まれている人に影響して

くり返されるのです。

やや専門的な話になると、

『投影』という働きが作用して

関係性の中で相手に影響する

『投影同一化』というものが起きたり

というのも『再現』に絡んで考えられます。

『再現』の渦中にいることで、

自尊心が低下したり、

心身のスタミナを消耗したり、

苦しむこともあるでしょう。

まずは、

『再現』という現象があることを頭の片隅に置きましょう。

「自分が…」「また自分が…」とつらい思いをしているのであれば、

『再演』としてよりも

より俯瞰的に『再現』として

起きていることをとらえ直すのも手です。

なんの『無意識』が関与しているのか、

心の『無意識の領域』を意識化していく取り組みも

自分の心を把握するひとつです。

『パターン』をいったんバラしてみて、

分析してみるのもいいでしょう。

『再現』の原点をたどって、

ひとからひとへの『連鎖』なのか、

本人の感性による『成功体験』なのか、

確認しておくのも、現象の把握に通じます。

再現を脱却するというのは

時としてすごい取り組みになります。

電車で言うと

「路線を乗り換える」ぐらいの気持ちで実現できる人もいれば、

「自分の前に新しい線路を敷くところから」のような気持ちで

未来に踏み出していく人もいるでしょう。

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