「プライドが高い」というのは、
必ずしも良いことばかりではありません。
世間には
プライドの高さに苦しむ人がいたり、
また、プライドの高い他者に振り回されてしまう人もいます。
プライドとはいったいなんでしょう?
ここではプライドを
「自分はこれぐらいできるんだ、という思い」と定めて考えていくことにします。
「これぐらいできるんだ」という言葉がピッタリではない場合もあるかも知れませんが、
行為、状態、扱われ方などなど、その他にも当てはまります。
実際に「できる」のも、周りに「認められる」のも、これに含まれると思ってください。
日本語では、自負(じふ)という言葉になるでしょう。
プライドは、
本人の心のよりどころになる側面があります。
しかし、そう単純なものではないようです。
できたかどうかという評価
プライド=「自分はこれぐらいできるんだ、という思い」の
途中にある「できる」の部分に注目してみましょう。
「これぐらいできる」が本人にとっての見込みなのだとすれば、
それに対し結果として
「できた」があったり、
「できなかった」があります。
その判定をする基準には、
外からの評価が影響する場合もあれば、
ほぼ自己評価という場合もあるはずです。
できたと評価した時
プライドの関係する事柄について
「できた」とすれば、プライドは維持されます。
「できた」が、良い意味で
自信や自己肯定感の向上に繋がることもあるでしょう。
一方で、
「できた」が、プライドをさらに強めるように作用することもあるのです。
これはやや、あやうい話です。あとで説明します。
できなかったと評価した場合
プライドに関係する事柄について
「できなかった」なら、心が傷ついたりもするでしょう。
一般に「プライドが傷ついた」と言いますし、
それを心理学的には「『自尊心』の傷つく体験」と言います。
※プライドは様々な『自尊心』の中のひとつと考えられます。
そのような「できなかった」によって、
自信や自己肯定感が低下することもあるでしょう。
低下しっぱなしだと、それが
意欲や気分や感情などに望ましくない影響をするのも懸念されます。
やはりあやういと言えます。
一方、
「できなかった」とはいえど、
グッとこらえて自信や自己肯定感を低下させないことや、
意欲や気分や感情を安定して保つこともあるのです。
ただしその中には、
さらにプライドに頼ろうとする展開もありえます。
なぜならプライドが心のよりどころになるものだからです。
すなわち、「自分はできるはず」と思い込んで、現実を受け入れない心理。
これもまた、先ほどとは別の意味であやうい話です。
結果がプライドを強めるループ
「自分はこれぐらいできるんだ、という思い」。
そのプライドは、
自然と心の中に生じてくるものですし、
それ自体が悪いものではありません。
ですが、
心理面であやうい状態におちいる展開があるのです。
プライドに関する事柄について
「できた」にせよ「できなかった」にせよ、
いずれの結果であれ、
元のプライドをさらに強めてしまう作用、
これを『結果がプライドを強めるループ』と呼ぶことにします。
そのループから抜け出せないことにあやうさがあります。
プライドを懸けて臨み、
結果がプライドを強める
という心理状態に居続けているからです。
プライドのあやうさ
プライドの高さに
苦しむ人や、巻き込まれる人がいるのは、きっと、
それが常に
「できた」か「できなかったか」、
心が傷つかずに済むか、傷つくか、
そういう戦いを続けているようなものだからでしょう。
いっそプライドを手放せば楽なのに、
それが自尊心の支えになっていれば守りたいのも自然な心理です。
プライドのあやうさから抜け出すためには、
どうにかループを脱する
別の流れを掴みたいものです。
結果がプライドを強めない
結果に左右されないプライド、…あります。
「自分はこれぐらいできるんだ、という思い」をもって
なにかをするけれど、
その結果による心理的な影響というのを受けないものです。
言い換えるなら、
結果によって強められるループをしないプライドです。
ループさせない、ループを断ち切る、ループをズラす…
様々な方法で
結果に左右されないように取り組むことが可能でしょう。
プライドとのつき合い方
プライドは、
本人の心のよりどころになる側面があります。
それと同時に、
そこにはあやうさがあるのです。
次に、
より良いプライドを作り上げていくための
ポイントを整理していきたいと思います。
より良いプライドのために(1)
プライドを懸けたなにかが
「できた」という時に、
自信や自己肯定感には結びつけるとしても、
そのプライドを強めないようにと心掛ける。
「ほら、やっぱりできた」と思いそうになっても、
「今回は上手くいっただけ」と捉え直すようなイメージです。
より良いプライドのために(2)
「できなかった」という時には、
現実を受けとめて
プライドに頼らない方法で傷つきを和らげる。
「そんな時もある」や
「自分なりにがんばったんだから、それで充分」などと
捉えるイメージです。
より良いプライドのために(3)
プライド=「自分はこれぐらいできるんだ、という思い」の、
「これぐらいできる」を、
勝ち負けや成否などといった評価からは離していく。
「自分は凄いことができる人間だ」「自分は決して負けない」のようなプライドを持って
戦い続けていくのは、どう考えても大変です。
もう少しゆるいプライドの持ち方を探してみましょう。
例えば、
なにかしら善行だと思う小さな行為に、プライドを持っても良いのです。
プライドと心理カウンセリング
プライドの高い人、特にループにおちいっている人にとって
その心理とのつき合い方は簡単ではないでしょう。
これはあくまで最終的な目標になりますが、
プライドに関して目指すのは、
自分で自分をねぎらえたり、認めたりできるようになることです。
「いやいや、そんなの無理」
「それができたら苦労しない」
「自分がそうなれるなんて想像できない」
そんな意見も聞こえてきそうです。
長い道のりになるのかも知れません。
心理カウンセリングは、
恥ずかしくて誰にも話してこなかったことや、
自分の心の困っている面について、
率直な思いを話していくところです。
現実の場面でプライドを脱ぎ捨てることが難しい方は、
心の自由を獲得していくために、
心理カウンセリングの可能性をご検討いただければと思います。
鹿野 豪
※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは
川越こころサポート室が提供するものを想定しております。
他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。
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