公認心理師・臨床心理士の鹿野(かの)です。
今日は 『恐怖症』 について解説します。
ひとによって異なる恐怖の感受性
「虫が苦手」という話はたまに聞きますね。
北海道育ちの私。質感が硬めの甲虫だと好きですが、
プニッと柔らかいボディの虫や、刺してくる虫は苦手です。
見るのは大丈夫でも、触るとなると思わず顔が「イーッ」となります。
世の中には、平気で触れる人もいますけどね。
強い恐怖、弱い恐怖…。
「なににどのくらい恐怖を感じるのか」は、ひとそれぞれです。
恐怖を覚える対象や程度は様々なのです。
高い場所に強く恐怖する「高所恐怖症」は、よく知られています。
斑点が密集した図柄に、ゾワッとしたり、恐怖を覚える人もいるようです。
これらは、人間の本能に由来するのでしょうか?
家の中に虫が現れた時に、大人が「ギャー!」と叫んだら、
同じ場にいる子どもの感性には「虫、恐るべきやつなのだ」と
すり込まれてしまうかも知れませんね。
直接に味わった不快な経験、つらい体験から、
それにまつわる対象を怖れるようになる場合もあります。
また、対象とは、社会参加や、人との関わりという
広い意味で捉えることもあります。
伝聞や、迷信、連想から、恐怖が芽生えて
心に定着してしまうこともあるでしょう。
個人的な背景を踏まえてみると理解できるものもあります。
仮に、とあるアスリートが、怪我を怖れるあまりに
包帯などといった怪我を連想させるものを見ただけでイラ立つとしたら、
それも一種の恐怖心の顕れと言えるでしょう。
恐怖に対する反応
[戦う] [逃げる] [防御]
これ、分かる方には分かるでしょう。
私が子どもの頃によく遊んだゲーム「ドラゴンクエスト」で、
モンスターと遭遇した際に選べる選択肢です。
しかし、
実際の恐怖への反応は、理性を飛び越えて決まってしまいがちです。
[戦う] [逃げる] [防御]の他にも咄嗟の反応として、
[固まる] [大声を出す] [過剰になにかを主張する]
[頭の中が真っ白になって、なにもしない]
[助けを求める] [過去に成功したパターンに頼ろうとする]
[感情任せにする] [安心感が高まるものにくっつく] [隠れる]
[あきらめる] [取引する] [積極的に服従する] [現実逃避する]
などなどがあり得ます。
また、恐怖を心理として理解するならば、
反応を単発で捉えるわけにはいきません。
その反応が繰り返されるのではないか、
そこから波及する影響はどのようなものか、
そして、
本人と対象との間に相互に生じる作用についても考慮するでしょう。
恐怖の問題とカウンセリング
恐怖によって外出先が限られるなど、
生活に支障をきたす問題に結びつくこともあります。
恐怖症が生活に支障をきたしているとしたら、
心理カウンセリングを通じて克服する方法があります。
カウンセラーとよく相談して取り組みの内容を検討してください。
と言うのも、
刺激に対する敏感さについて、
標準の範囲内の人もいれば、強く感じやすい人もいます。
恐怖を克服する意義が、
明確な人もいれば、漠然としている人もいます。
そもそも生活上のストレスが普段から
多めの人もいれば、
そうでもない人もいるでしょう。
そういった様々な事情の組み合わせによっても、
カウンセリングにおける取り組みの方針は変わってくるはずです。
恐怖症はひとそれぞれ。まずはご相談ください。
鹿野 豪
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