今回は 『自己愛』 という用語を解説します。
心理学での意味を理解して
これからも使ってみてください。
心の中の優先順位
ひとりひとりの心の中には、
おおよそであれ個人の『価値観』に繋がるような、
物事の順位があります。
「大事さのランキングのようなもの」と
イメージしていただいてもいいでしょう。
「なにを優先するのか」といった『判断』をする際の
心の中での基準となるものです。
『自己愛』とは、
心の中にあるランキングにおいて
「自分」 を高く位置づけて、
他より優先しようとする心理を指します。
平たく言うと、心の中のランキングにしたがって
「他よりも自分」「自分を」「自分が」というものです。
そういった心の中の『自己愛』を満たすように、
それに適う現実を追い求めていくのです。
一方、『自己愛』にこだわらない人は、
「自分は後でいいよ」「別に高価じゃなくて構わないよ」
といったように、選択の幅を広く保つことでしょう。
自己愛の様々な意味
「自己愛の強さは忌むべきものなのか?」と言うと、
必ずしも、そうでもありません。
「この競技で、自分が1位になりたい」
というのは競技者の姿勢です。
「より品質の高いものを作れる人間になろう」
と自己愛に適う理想を追求するのも
文化のひとつの側面ですし、
それ自体は悪い動機ではないでしょう。
他の人を巻き込まない自己完結した『自己愛』はどうでしょうか。
「あの人は「自分が一番だ」と思ってる。
だけど、それでトラブルが起きるわけではない」
というのであれば、微笑ましくもあります。
たまに優れた業績を残した人に
傲慢・尊大なエピソードがあったりするもの。
それを心理学では、
『自己愛』にまつわる事柄として
とらえることができるでしょう。
『自己愛』はそのひと自身の支えにもなり得ます。
逆に、
心の中で「自分」を高く位置づけていることにより
現実とのギャップに苦しむ人もいます。
また、残念ながら、
傲慢であったり、尊大な態度が関わった人を傷つけてしまうこともあります。
心の中のランキングで「自分」を上位に据えること。
『自己愛』、そのものが「良い」「悪い」ではなく、
その体験、とらえかた、
行動や言動にどう反映されているか、
そのあたりこそ注目すべきところなのです。
鹿野 豪
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