前回、心のエネルギーについて書きました。
車にとっての「ガソリン」であったり、
人間の身体が「体力」を使って活動するように、
心においても「心のエネルギー」があるという考え方です。
今回はそれを踏まえた上で、
心の中のエネルギーの通り道について
解説いたします。
成功体験
『成功体験(せいこうたいけん)』と呼ばれる現象があります。
意味は「これは成功、と思う体験」のことです。
まずは、
心にとって
『成功体験』が
どのようなものなのか
考えてみましょう。
そもそも「成功」とは?
それは個人の心が決めることです。
マトに向かってボールを投げて
見事にポンと当たったら
「成功」だと言えるでしょう。
ただし、その結果に対して
さして気にとめないか、
それとも
なにかしらの意義を感じるかは、
本人の心次第なのです。
同じことが起きたとしても、
『成功体験』かどうかは、その人の心によって決まります。
ボールがマトに当たったことに
大きな興奮と快感を覚えたとしましょう。
そして
「またやりたい」と思うとします。
心の中にそうしたエネルギーの通り道ができる、
というイメージは
ご理解いただけるでしょうか?
『成功体験』を再現するために、
目には見えない心の中に
「またそこにエネルギーを通したい」と感じたり思うような
心のエネルギーを通す道筋、
心のエネルギーの通り道が作られるのです。
心のエネルギーが通らなくなる
そうした心の中の通り道にエネルギーを通そうとしても
うまくいかないときがあります。
「思うようにいかない」といってもいいでしょう。
理由は大きく分けてふたつです。
・現実に妨げられる要因がある。
・心の中にそれを妨げる要因がある。
ひとつめ。現実では、
例えば、マトにボールを当てる気持ちよさを味わいたい。なのに、
何度投げても当たらない、とか
投げられない事情ができた、ということがあります。
そういった現実と心とは連動しているので
心のエネルギーが通らないことになり
嫌気がさして
ボールを投げる意欲が失われるかも知れません。
ふたつめ。心の中は
空想だけで完結していると確かに自由度は高めです。
ですが、それでも
葛藤や、自信の無さ、罪悪感、コンプレックス…など
心の中にある様々な要因によって
「そんなことを思うのも気が引ける」といったように
心のその通り道にエネルギーを通す意欲が失われるかも知れません。
過去の体験が影響する場合もあるでしょう。
「外したら恥ずかしい」と思って、投げなくなるといったものです。
これら現実と心の中、両方の要因が絡み合うこともあります。
すると、心のエネルギーの通り道が
目詰まりのように、エネルギーを通しにくくなります。
心的エントロピーの高まり
心のエネルギーが高まっているのに、使えず、発散もできない。
そのため込みは
心の不具合にも繋がりかねないものです。
前回、『心的エントロピー』という言葉で解説した話です。
>> 心的エントロピーとは(前編)はこちらをクリック
心のエネルギー量が少なめな人もいれば、
心のエネルギーが多かったり高まりやすい人もいます。
さて、
心のエネルギーの通りが悪くなるとき
どちらが不具合を起こしやすいでしょうか?
目立つのは、心のエネルギーが多い人・高い人の方です。
ですが、
実は、エネルギーの少ない人・低い人にとっても、
心のエネルギーの通り道が通らなくなることで
問題は起きうるのです。
周りの人たちからは「物静かな性格」と思われている人が
ただ主張をせずにためこんでいただけで
本人は苦しいし、我慢を重ねていた
ということもあるでしょう。
答えは、心のエネルギーの量や高まり方が違うと
不具合のあらわれ方は違うかも知れませんが、
いずれにおいても『心的エントロピー』の高まりには
気をつけた方がいいということになります。
心のエネルギーが通らない状態が続いてしまわないよう
気を配るのが望ましいと考えられます。
心理カウンセリング
「心のエネルギーの通り道を確保したい」と考えるとします。
このブログではその最大のポイントだけ押さえておきましょう。
それは
心のエネルギーの通り道は
その心によっておのずから作られるという点です。
確かに、
周りからの影響として、
学びの機会、感化、励まし、評価、など、
本人以外に心のエネルギーの通り道を作る要因はあります。
ボールをマトに当てるゲームが流行っていたり、
賞賛されたりすれば、取り組む意義を見出しやすいでしょう。
ですが、やはり心は
外からの力で無理矢理にできていくのではなく、
おのずから形作られていくものです。
重要なのは
本人が素直に「面白い」と思うかどうかです。
心は目に見えません。
ですが、対話で言葉にしていくなど
その人なりに表現する方法を
考えてみましょう。
どんな思いでいるのか。
どんな心のエネルギーの使い方をしたいのか。
それにまつわる
現実の事情であったり心の中の思いはどうなのか。
などです。
それらは時に複雑な事情が絡むかも知れません。
現実や心の中の要因が目詰まりをひき起こしたりもします。
本人のペースで丁寧に語るなど
表現し続けることができれば、
それによって
おのずから心のエネルギーの通り道ができていき
守られていくのだと
私は考えています。
心理カウンセリングが、
ご自身のペースで丁寧に語る表現の場
となればさいわいです。
鹿野 豪
※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは
川越こころサポート室が提供するものを想定しております。
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