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自分自身との距離

扉絵

ここでの「自分自身との距離」とは、

心の中での話になります。

 

今回は、

自分自身との距離の取り方というものがある

と考えてみましょう。

 

「実際に何センチの距離があって」というのではありません。

あくまでイメージでの「近い」「遠い」です。

自分自身と距離が近すぎる場合

心の中で自分自身との距離が近すぎるとしたら。

 

まるでモノとの距離が近すぎるように、

全体像をとらえにくくなったり、

翻弄されやすくなるでしょう。

 

それを反映した活動は、ときとして必死にならざるを得ません。

「自分で自分が見えていない」という言い方がありますが、

それに近い心理状態と言えるでしょう。

 

自分自身と距離が近すぎることでの

心理的な苦痛も生じます。

 

あまりに主体的であり、客観性にとぼしい状態とも言えます。

自分自身と距離が遠すぎる場合

心の中で自分自身との距離が遠すぎるとしたら。

 

自分で思ったり感じていることが、

実感をともなって味わうこと無く

どこか他人事のように感じたり、

存在としては自分がいるのに心では存在感が薄く感じたり

するのではないでしょうか。

 

そこでは、

言いようのないむなしさや虚無感にいるかも知れません。

 

客観性はあっても、体験の感覚にとぼしい状態とも言えます。

自覚しにくい現象

こういった自分自身との距離に関する大きな特徴は

自覚しにくい現象であるという点でしょう。

もしくは

自覚していてもどうしていいか分かりにくい現象なのです。

 

本人は「そんなもの」や「必然」とみなしがち。

昔からそうやって生きてきた、

今もそうやって生きている、

そしてこれからもそんなものだろうと、

疑うことも無く日々を過ごします。

 

それに対して、

周りの人たちからは

例えば「がむしゃらだ」であったり「ドライだ」といった

見え方がしていたりします。

心の距離をつかむために

心の中での自分自身との距離を

「近すぎない」「遠すぎない」程度にするために

できることはなにがあるでしょうか?

 

ひとつは、できるだけ評価せずに自らに関心を持つことです。

自分自身と近すぎるようなときは「近すぎるのかな」、

自分自身から遠すぎるようなときは「遠すぎるのかな」と。

それを「良し・悪し」で評価せずに、

自分の状態を眺めるようにとらえるのが良いでしょう。

 

次に、評価せずに眺めることに慣れると良いでしょう。

近いと「遠い方が気持ちが楽だろうに」と思ったり、

遠いと「近い人は気持ちに素直で良い」と憧れたり

するかもしれませんが、

それらはすでに自己評価をしてしまっています。

「心での自分自身との距離はそういう状態だなぁ」と

評価をせずに眺められるようになるのが目標です。

自分自身との距離について

ふたつのポイントを整理します。

 

(1)心の中での自分自身との距離という現象。

 それは自覚しにくい現象です。

 実際には存在していない距離という仮定の話ですが、

 自覚のために関心を向ける上でのイメージとキーワードになるでしょう。

 

(2)良し・悪しで評価について。

 自己評価をしていては、むしろ

 距離の改善には結びつきにくいと言えます。

 その心理状態を眺めるぐらいの感じを目指すと良いでしょう。

 

距離が近すぎて、呑まれた感覚のままでいるのも大変でしょう。

「自分って、こういうところあるよなぁ」と言えるぐらいに。

また、

距離が遠すぎて、自分の感覚が遠ざかったままも味気無いのかも。

「自分は、こういうことを感じてるんだなぁ」と感じられるぐらいに。

 

客観的な自分自身の見え方、

そして

主体的な自分自身の感覚、

ともに適度に体験できると

自分自身との距離として程良いのではないでしょうか。

 

上の(1)と(2)、ふたつのポイントを

押さえておくと良いと思います。

心理カウンセリング

心の中でも自分との距離の取り方で、

心理カウンセリングがお役に立てること。

 

それは、

出来事にたいしての感覚や感情を、

評価されること無く話せる場であるいうものです。

 

ささいに思うような出来事や心の動きであっても、

自分自身との距離の近さや遠さを連想させるような

体験を

していたりするものです。

 

カウンセラーは体験の「感じ方」を評価いたしません。

それによって、

心の中の距離感に関心を持っていられるように、

そして自覚されにくい現象の自覚に繋がればと思っています。

鹿野の顔写真

鹿野豪

公認心理師(登録番号 : 2225)

臨床心理士(登録番号:  17852)

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