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ES (エス)とは

扉絵

心理学の専門家=臨床心理士が

深く分かりやすく解説します。

 

今回のテーマは『es(エス)』です。

 

この言葉を使ったヒット曲をご存じでしょうか?

ミスターチルドレン

【es】~ Theme of es~(エス~テーマ・オブ・エス~)は

Mr.Childrenの8枚目のシングル、ミリオンヒット曲のタイトルです。

 

この言葉は、フロイトによって編み出されました。

フロイト

かつて

オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトは、

心に3つの要素があると提唱しました。

3つのうちのひとつがエスです。 

フロイト肖像
フロイト

エスの特徴

エスは、心を突き動かすエネルギーのようなものです。

 

例えば、

誰しも心の中には、なにかしらの「欲」がありますよね。

そこにエスが関わると、

積極的に求めようとする心の動き、

『欲動(よくどう)』という言葉で言い表されます。

 

それは「ドライブ」という言葉でも表現できます。

ドライブと言っても「車でお出かけ」ではなくて、駆動するイメージです。

フロイトは馬に乗る例えでも説明していたそうですが、

ぐんぐん進む感じです。

 

また、人の心の中には「情」というものが湧きます。

エスが関わると、特定のなにかに向けての情を意味して、

『情動(じょうどう)』という言葉で言い表されます。

 

エスという心の要素のイメージは少しできてきたでしょうか。

現実的な制約

エスは、常に解放が許されるわけではありません。

 

現実、または人間社会には、様々な制約があります

「これをすると法律に触れる」

「これは誰かの心身に害がおよぶ」

といった理由で禁止されていたり、

「やろうとしても無理、できない」ものもあるでしょう。

文化によって、暗黙の倫理や道徳などがある場合も。

 

人は、エスと、現実の制約、

その狭間で折り合いをつけていくものと言えます。

心の中の制約

現実だけではなく、心でも制約が生じたりします

 

個人差はありますが、エスに対して、

心の中でブレーキがかかったり、

上手く乗りこなせないこともあるのです。

 

馬の例えもありますが、

自分で完全にコントロールできないのではという感覚を含む、

それがエスです。

 

それによって、傷ついたり、臆病になったり、言い訳を憶えたり、

別の道を見つけたり、倫理観や、罰せられる怖れを覚えたり…。

  

心の中にはエスの解放を阻もうとする働きが生じたりもします。

 

そのうち、エスの解放の仕方が分からなくなる場合もあるでしょう。

制約されるエス

エスは、たいてい対になる制約と併せて考えられます。

 

サーフィンを趣味にしている人がいるとして、

波に乗っている間は、好きなことを全身で味わっているのです。

まさにエスを存分に開放していると言えるでしょう。

ですが、天気が荒れてしまったら、それもできません。

 

例えば、ある人が、誰か愛したい人がいるけれど、

相手も人間だし反応はどうだか…、

人と人の関係には不確かさもあるし、嫌われるのは怖いし、

いつの間にか見栄を張って強がることを覚えてしまったり、

傷つきを回避する言い訳を語ってみたり、

そうやって不器用にも

どんどん素直さからかけ離れてしまうことだってあります。

 

大富豪なら、バンバン買い物をして、贅沢に

思う存分にエスを解放できそう?果たしてそうでしょうか。

目立つ立場の人には、見えないところで苦労していたり、

それなりの制約があるのかも知れません。

真のエスの解放

エスの解放は、えてして難しいものです。

 

まず、心のエスの解放は、

衝動に身を任せることや

感情のおもむくままに行動することとは

違うのだ、という点を押さえましょう。

 

悪天候なのにサーフボードを抱えて海に突進するのは、

無謀ですし、それでテンションが上がったとしても

「サーフィンを楽しんでいる」とは言い難いです。

サーフィンを楽しんで、エスを解放しているのはどんな時?

 

心が整う、環境が整う、そういった条件がそろった瞬間

真のエスの解放があるのではないかと私は思います。

 

なにをもって「心が整う」とするのか?については

それぞれで考えてみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

それぞれのes(エス)のイメージをもって、

Mr.Childrenの

【es】~ Theme of es~ を聴いてみてください。

 

歌詞の裏に心象風景が浮かび上がるのではないでしょうか。

鹿野 豪 (公認心理師・臨床心理士)

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