『ジレンマ』という言葉を聞いたことがありますか?
現実で板挟みの選択に直面する悩みを「ジレンマ」と言います。
どっちも選びにくい条件で『判断』を迫られる状況です。
判断について
ひとは普段から様々な『判断』をします。
行動を決める時も、なにかを見たり・聞いたり・理解したりする時にも、
大なり小なり、心の中で
「これは、こうだ」という『判断』をしているのです。
その『判断』に影響するのが、
心の中にそれぞれが持っている『価値観』です。
価値観について
『価値観』は、かなり幅の広い言葉です。
時には「基準」、時には「こだわり」、時には「感性」、
時には「先入観」、時には「生き方」とも言い換えられるでしょう。
いつのまにか作られていきますし、変わってもいきます。
そして、その人の、発言、行動、態度、人生にまで反映されます。
さて、板挟みの選択肢があって、
どちらに舵を切っても、それぞれに
なにか『快』があるのだとしても
『不快』もあって、悩ましい状況だとしましょう。
1回きりの『ジレンマ』ならば、大きな問題は残りません。
メニューには気が乗らない料理しかない、だけど何かを選ばなければ…。
食べたらそれっきり。
そんな『ジレンマ』なら、あとに引かないでしょう。
懸念されるのは、
心の中にある『価値観』が絡んだ場合の『ジレンマ』です。
ジレンマについて
『ジレンマ』について知っておくべきは、
『価値観』の絡んだものは意外と手ごわいということです。
その人にとって意味があり、
それぞれ対する思い入れがあったり、
言い分のようなものがある、
そんな『価値観』をかけて『判断』をする際、
ひとり心の中だけでやるのは、手探り状態にも似て難しいです。
紙に書き出すのも、手段のひとつでしょう。
メニューから料理を選ぶようなその場限りに過ぎないのか。
それとも、
どの料理を選ぶかが意味を持つといった
悔いや後悔をもたらすような、『価値観』が絡む手ごわいものなのか。
平たく言うと、その時点で本心から、割り切れるか、割り切れないか。
その違いを嗅ぎ分けることが重要です。
ジレンマの手ごわさ
ここで『ジレンマ』の手ごわさについて
もう少し述べていきましょう。
『ジレンマ』は、
それなりに時間をかけて『判断』を導くことが望まれます。
無理に急くと、
押し込まれた方の『価値観』が後々にうずくことにも繋がります。
この現象のリスクには、お気づきでしょうか。
押し込まれたものが後になって無意識的に跳ね返って出てくる、
という心の仕組みがあるのです。
たとえ片方の『価値観』が客観的に
本人のためにならないものだったとしても、
「捨てろ」と言われて、『価値観』を捨てられるとは限りません。
『ジレンマ』を起こすほどなので小さくはないはずなのに、
バッサリ切り捨てられた方の『価値観』が
黙っているとも限りません。
そういう現象が、心のリスクとして気をつけたいことなのです。
「まだ決めない」という保留が認められる場合は、時間をかけられます。
『判断』が迫られる『ジレンマ』の場合は、
あとからのアフターケアでも良いので、それなりの時間をかけましょう。
悩みは誰かに相談するのも手ですが、
相談した相手がアドバイスをしてきたら、
そしたら、じっくり吟味できなくなるかも知れません。
仮に「その意見が正当だったとしても」です。
むしろ「正当であればこそ」、さきほど述べた
無意識で跳ね返ってくるリスクが高まります。
それなりの時間をかける、そして、
心の中だけで解決の作業をしようとしない、
これらが『ジレンマ』の対応としてカギになります。
また、『判断』の時点で心が整っていれば、
たとえ悔いや後悔が生じても、
心が対応しやすいと考えられます。
心理的な意味で、されるがままではなく、主体的な姿勢です。
もしも『ジレンマ』に関わる関係者がいるのなら、
一緒に時間をかけて取り組めるといいでしょう。
心理カウンセリングでの解消法
『ジレンマ』は、「保留する」も含めて、
『判断』によって前へと進みます。
「保留する」も主体的にできれば立派な『判断』です。
それなりに時間をかけつつ、ただ無為に時間が過ぎるではなく、
悩ましいながらも納得に収まる『判断』を目指しましょう。
心理カウンセリングではどうするか、簡単に説明します。
まず、その『ジレンマ』が
心の中にある『価値観』に絡むものなのか、
見極めることになるでしょう。
『価値観』に強く絡んではいない場合には、
ご自身の経験を参考にしたり、状況を確認していき、
ご自身の納得のいく『判断』に繋げます。
一方で、『価値観』の絡むときは慎重に。
目指すのは、『ジレンマ』に絡んでいる『価値観』を
心の中で、いずれも大事にできる状態です。
どの『価値観』も大事ととらえた上で、
心の中で共存させる。心にそれができる余裕をもたせます。
『価値観』にはそれぞれ意味があって、
それにまつわる様々な感覚があるはずですから、
それらを「良し・悪し」や「善・悪」といった評価を抜きに
心の余裕を作りながら味わっていきます。
その空間を心の中に作って、吟味するようなイメージです。
さきほど、紙に書き出すのも良いと述べました。
確かに、書くのも有効な手段のひとつ。
ただ、「書く」と「語り合う」では体験の質が違って
対話でこそ深まるものもあります。
どちらにも、良さがあります。
そういった取り組みを通じて、
損得があっても、心は主体的な姿勢を失ってしまうことなく
『ジレンマ』を切り抜けていくと考えられます。
※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは
川越こころサポート室が提供するものを想定しております。
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