『尊厳』という言葉は、幅広く使われています。
ここでは、
心理学的な意味として紐解いていきましょう。
尊厳の意味
ある人にとって心の底から
重要とみなすなにかしらの性質があるとします。
それを一方的に軽んじられた時に
『尊厳』の侵害としてつらく体験されます。
反対に、
それを軽んじられない体験をもって
「『尊厳』が守られる」のでしょう。
重要とみなすなにかしらの性質
その
重要とみなすなにかしらの性質について考えてみましょう。
見方を変えると、
軽んじられた時に「『尊厳』を踏みにじられた」と感じる
それは、なにかです。
『感性』には個人差があります。
同じ現象であっても
『尊厳』の侵害と感じるのか、感じないかは、ひとそれぞれ。
ですが、
おおよそ以下の事柄は多くの人に当てはまるようです。
まず、命です。
命はひとりにひとつしかなく、かけがえのないものとするなら、
それを他者から一方的に軽んじるのは『尊厳』に反します。
安全に対して『脅威』を与えられること、
身の安全も、命に通じることでしょう。
次に、人間らしくあることを挙げたいと思います。
人間は、おのずから思ったり感じたりします。
自然と湧いてくるようなものです。
それなのに誰かから一方的に
「思うな」「感じるな」と非人間性を強いられたら
『尊厳』にまつわる傷つきに結びつきえます。
関わりに対して無視されるのも同じ意味で
人間らしい存在としての苦痛に感じると考えられます。
いかがでしょうか。
これらは多くの人に当てはまるはずです。
他にも、
身体的な特徴にまつわること、
性別にまつわること、
生殖にまつわること、
宗教の信仰にまつわること、
民族や出生にまつわることなどは、
いずれも
軽んじられると『尊厳』の侵害と感じられやすいものです。
尊厳に関わること
『尊厳』の侵害は、
いじめ、
差別、
生活環境・労働環境、
ハラスメント、
虐待、
DV
などに見られます。
学校現場では教員が児童生徒らの『尊厳』を守る、
労働場面では経営者や管理職が労働者の『尊厳』を守る、
他にも様々な場面で
意識的に
人の『尊厳』を守るための
配慮や積極的な取り組みが求められます。
尊厳を傷つけられた時
『尊厳』に関係する心の傷つきは深くまでおよび、
その後の人生に大きく影を落とすことがあります。
なんらか優劣の評価にさらされて
『コンプレックス』に結びつき、
悩みが反復的に、繰り返し再燃してしまうのも心の性質です。
誰もが『尊厳』に関係する傷つきを避けたいもの。
なのに、
もしも人生の中で『尊厳』が守られない経験をしたなら。
否応なしに『絶望感』を覚えたり、
気力が失せて、訳の分からない感覚に戸惑うかも知れません。
他人も世の中も、なにもかもが怖く感じることもありえます。
うつっぽくなったり、
悲しみや怒りの感情がとめどなく湧いてくることも。
また、
コンプレックスにさいなまれている自分に気づいたり、
人によっては、
自分を無価値だとみなして、死を考えることもあります。
それでも、
私は、どうか絶望に落ち続けないで欲しいと思うのです。
心を覆うかのようなとてつもない『絶望感』だとしても。
頭の片隅に
「『尊厳』を傷つけられたら気持ちが落ちるもの」という理解を置きつつ、
心を傷つきから回復するために
どこかに必ず理解者がいると命を繋ぎとめていただければ。
それが私の願いです。
心の回復の補助としての心理療法も研究されてきています。
身近な専門家をお訪ねいただくことも選択肢になればと思います。
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