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コンプレックスとは

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今日は 『コンプレックス』 という用語について解説します。

コンプレックスとは

そもそもの意味を確かめておきましょう。

『コンプレックス』は、日本語に訳すと「複雑」です。

心理学では当初、

「愛憎の絡んだ複雑な心理」として使われる用語でした。

 

自分が欲しいと思っているものが手に入らず、

それを他者が持っているときに心に生じる

特に『劣等感』が関係するものが

劣等コンプレックス』と呼ばれていました。

それが略されて

いつしか『コンプレックス』に置き換わっていったのです。

 

なお、「欲しいと思っているもの」というのは、

ひとそれぞれであり、

形の無い「もの」の場合もあるでしょう。

 

正式名称は『劣等コンプレックス』ですが、

ここでは、それを『コンプレックス』として進めていきます。

コンプレックスで生じるもの

心に『コンプレックス』があると、

そこから

どんな反応が現れるでしょうか?

「コンプレックス=複雑」というぐらいですから、

あまりシンプルではないのです。

 

メラニー・クラインという心理学者は

嫉妬(しっと)』と『羨望(せんぼう)』を挙げましたが、

私が提唱するのは、

それらに『自己卑下(じこひげ)』を加えた3種類です。

 

『嫉妬』では、

悔しさから怒りや妬みの感情が湧きます。

『羨望』では、

「なんて素敵な」といったような憧れの感情が湧きます。

相手の服をマネしたり取り入れるのも、羨望のひとつと考えられます。

『自己卑下』では、

自分をそれを得るに見合わない者だとみなして、

「自分には無理なんだ」と、なんとかあきらめようとします。

 

人によって、どれを感じやすいでしょうか。

もしくは、起きている反応は、どれに当てはまるでしょうか。

複雑さを捉えていく

この心のありようを「複雑」と呼ぶ主な理由は、

「『コンプレックス』の反応をもとにしているのだ」という元々の要因を

忘れてしまっている心の活動や、

元々の要因から

さらに意味を発展させてしまった心の活動だからなのです。

 

例えば、『嫉妬』が生じている心の状態では、

もうその心の働きが中心になってしまっていて、

「どうしてそんな心境が生まれたのか」といった

個人的な心のことを振り返らずに過ごしがち、ということです。

 

『コンプレックス』が理性的なコントロールを超えて、

心を翻弄してしまうようなら、

「掘り下げて考える」という考え方もあるでしょうけれど、

私としては、

シンプルに捉え直していく取り組みもおすすめしたいところです。

 

『嫉妬』、『羨望』、『自己卑下』は、いずれも、

問題に結びついてしまう場合がありますが、

その一方で、

効果的な形に昇華させる場合もあります。

 

心理カウンセリングでの取り組みを経て

『コンプレックス』から自分を解放し、

その力を効果的な形に変えていく方法を

検討してみてはいかがでしょうか。

補足

『コンプレックス』それ自体を

より穏やかで可能性のあるものとして独自に捉え直そうとしたのが

精神科医のユングでした。

 

ユングの解釈による『コンプレックス』の考え方については、

また別の機会にご紹介することといたします。

鹿野 豪



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