ケアとは
ケアとは、ここでは「大事にあつかう」という意味です。
「心のケア」というのは、
その人自身によって、他の人によって、社会によって、
またはそれらの組み合わせによって、
心が大事にあつかわれることを指します。
心が大事にあつかわれるとは、
いったいどういうことでしょうか?
心を大事にあつかう
心にはいろんな面がありますし、
調子の良い時も不調な時もあります。
その時々の
心のありのままをそのまま認めること、
それこそが
「心を大事にあつかっている」と言えるでしょう。
ありのままを認めるというのは、
言葉で「そういうことなんだ」というように言うこともあれば、
そっと無言でそう受けとめることもあります。
言葉にしても良いし、しなくても良いでしょう。
いずれにしてもまずは、
ありのままの心を受けとめることが
大事にあつかうことに繋がります。
言い換えると、少し変な言い回しですが、
「心というのは、ありのままにあつかって欲しがっている」とも言えます。
心がちぢこまっている状態であればなおさらです。
ありのままとは
ありのままの自分。ありのままの心。
いったいなにが
ありのままなのでしょう?
心にはさまざまなことが関係しています。
置かれた状況や、
誰かとの関わり、
なにかの活動、
そこでわいた感覚、感情、
気持ち、思い…。
そんな心がありのままでいられないこともあります。
あります、と書きましたが、
残念ながらおおよそ世の中は、そんなことだらけです。
ここでは「ありのまま」を考えるために、
その逆の「ありのままでいられない」をイメージして、
それがいかに良くない心の状態かを想像してみましょう。
例として、
誰にでもある状況を置いてみます。
なにかしら必要な物をカバンに入れ忘れて来てしまった状況。
つまり忘れ物です。経験ありますよね。
カバンの中に無いと気づきました。
「ウソ…、そんなはずはない!」
「どうしよう?」
「なんてバカな自分!」
「ひとに知られたら、どう思われるだろう…?」
「怒られる…」
予想外のことに動揺し、気持ちは穏やかではありません。
心をケアする
なにか大きな忘れ物をしてしまった日。
しかも、ひとに迷惑かけてしまったとしましょう。
「ひどい一日だった」
「みじめだ、悲しい」
「恥をかいた。もう会わせる顔がない」
「こんな自分、嫌。最悪」
そんな思いを抱えてトボトボと帰り、
布団に潜り込んでも、気持ちは落ち着かなくて…。
そんな心のケアとなれば、
やはり
ありのまま
どんな感情がわいたとか、どんな思いがあったかなどを
批判的にではなくあつかうことです。
それによって心を大事にするのです。
「ちょっと聞いてよ。今日、忘れ物しちゃってさ…」と
愚痴や、ぼやき。
心にとって悪いものではありません。
体験を語ることで気持ちをリセットする。
ここにも心のケアが見られます。
もしかすると「愚痴ったところで忘れ物をした事実は変わらないじゃないか」と
思われるかも知れません。
「失敗を思い出すと、自分がつらいだけでしょ」という
お気持ちも分かります。
「過ぎたことを悔やむ必要は無い。ポジティブにいこう」と
おっしゃる方もいるかも知れません。
それらのご意見も間違いではありません。
実際、自然と気にしなくなれるのなら、正しいでしょう。
しかし、ケアしなかった心が、
痛手を引きずることもありますよね。
心をケアする必要性があれば
自分ひとりで気持ちを整えられるのなら、それでもいいんです。
ですが、
人の心は、
つらさや苦しみをひとりで抱え込むと、
気が病んだり、ネガティブにおちいることもあるのです。
また、
ありのままから目をそらしたことで
ポジティブにかたより過ぎる問題も忘れてはいけません。
「もう絶対に忘れ物をしないぞ!」と強く心に決めた、
その決意が元で、周りのひとの忘れ物に対して過度に厳しくなる
なんてこともおきかねないのです。
忘れ物ひとつで烈火のごとく人格を否定するかのように叱る、
その叱った人は自身の心のケアができていたと言えるでしょうか?
心をケアする必要性はそんなところにもあらわれたりします。
もうすでに気を病んでいたりネガティブにおちいっていたり、
極端な価値観に強くしばられていたり、
するのかも知れません。
それでも、そこからケアを進めていきましょう。
今回は忘れ物という題材で話を進めていますが、
読んでおられる方は、
心のケアというテーマから別のことをお考えかもしれませんね。
細かい痛手、大きな痛手…。
昔からの根深い痛手、最近のショッキングな出来事による痛手…。
心の安定を保つために、
心の痛手からの回復のために、
ありのままを大事にするケアの取り組みがございます。
そのひとつに、
心理カウンセリングをご検討ください。
鹿野 豪
※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは
川越こころサポート室が提供するものを想定しております。
他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。
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